財務省が発注する「AI映像解析による監視取締りに関する調査研究」の取引先に東芝インフラシステムズ株式会社が選定されたことが分かった。19日に同省が明らかにした。契約額は10,000,000円を予定している。
一般競争入札にて、価格以外の要素も含めて、最も有利な提案が採用されたものとみられる。
【解説】
今回の調査研究着手に先立って、財務省関税中央分析所では、特に空港税関におけるテロ関連物資や薬物の取締りに、人工知能(AI)による映像解析技術の利用することを検討していた。
この活動は、政府の研究開発大綱に沿った評価を経て課題設定をしたもので、「いわば、要件定義から技術実証までをスコープとする2ヵ年のプロジェクト」(研究開発評価経験者)に相当する計画設定がなされている。
財務省内では「(市販のAI搭載カメラ等を)直ちに税関の監視取締りへの転用は期待できない」(当局者)と慎重論を交えつつ、今後の入国者の回復や増加見込み、密輸の悪質化や巧妙化、そして税関の人的リソース制約を踏まえて、「効果的かつ効率的に取締りを実施する」(前同)観点からAI映像解析技術の導入を期待する声が挙がっていた。
これに応じて、筑波大数理物質系の喜多英治特命教授を座長とする有識者会合では、税関でのAI映像解析技術の研究を通じて「不正薬物等の厳格な密輸取締りが期待される」と後押ししている。
東芝インフラシステムズは、今回の調査研究で実環境でのデータ収集や、アルゴリズムの設計などを担当するものと見られる。その上で、早ければ年度内にも税関検査場でAI映像解析利用の技術実証が試みられる見通しだ。
※2023年6月8日までの追加取材の結果を解説として追記しました。